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「喜羊羊と灰太狼」大ヒットで中国アニメ産業は浮上するか
2010-02-03
NIKKEI IT PLUS より

2009年の中国流行語大賞を選ぶとすれば、「嫁人要嫁灰太狼、作人要作喜羊羊」は間違いなくその1つだろう。意味は「嫁に行くなら灰太郎のような旦那に、人としては喜羊羊のようになれ」。「灰太狼」も「喜羊羊」も09年に大ヒットした中国アニメ映画「喜羊羊と灰太狼」のキャラクターだ。久々に登場した国産アニメ大作は中国では社会現象にまでなった。(肖宇生)
■配給収入15億円の大ヒット作
09年の春節(旧正月)に公開された「喜羊羊と灰太狼」は最初の3日間だけで3000万元(約4億5000万円)を稼ぎ出し、最終的な配給収入は1億元(約15億円)を突破した。08年に公開された米アニメ映画「カンフー・パンダ」に迫るヒットで、外国作品が圧倒的に強い中国アニメ業界では「奇跡」といってもいい。
関連商品もあっという間にスーパーやコンビニの棚を占領し、「喜羊羊と灰太狼」旋風を巻き起こした。コンテンツ業界だけでなく政府までがこの作品に注目し、制作会社が本拠を置く広東省では政府年度総括リポートでも取り上げたほどだ。10年の春節にはシリーズの新作が公開される予定で、中国の子供たちは首を長くして待っている。これは長らく成長軌道に乗れずに苦しんでいた中国アニメ産業にとって突破口となるのだろうか。
■テレビ放映とライセンスで浸透
「喜羊羊と灰太狼」は一夜にして成功したわけではない。オリジナルアニメがテレビ局で初めて放送されたのは05年。制作会社はキャラクターの浸透を図るため安い放送権料でテレビ局と契約し、関連グッズのライセンス供与で制作費用の回収を狙った。作品の質がよかったのは当然だが、こうした積み重ねでようやく国営放送の中国中央電視台(CCTV)をはじめ全国の50局以上で600話も続くシリーズとなった。
映画化にあたっては、中国メディア大手のSMGグループ、子供向けコンテンツのプロモーションに定評のある北京優揚グループと組んだのが大きい。企画からコンテンツ制作やプロモーションまでを三者一体で行い、映画のヒットに続いてライセンスビジネスで弾みをつける好循環になった。
09年はじめに39社だったライセンス供与先は年末には174社まで増え、ブランド力の上昇ぶりを物語っている。コンテンツの制作・流通から関連商品に至るバリューチェーンを構築し、時間をかけてブランドを育成するスタイルはまさにアニメビジネスの王道だ。
■アニメ産業育成の機運
ここにきてソフトパワーを重視するようになった中国政府は文化産業を「10大重点産業」の1つと位置付けている。特に産業基盤が脆弱なアニメ産業にはかなりの力を入れ、ゴールデンアワーの外国製アニメ放送禁止など、保護主義と批判されても仕方がないてこ入れ策まで講じている。
これに呼応して、中国全土で50以上のアニメ産業基地が産声を上げ、産業としてのインフラも整い始めた。アキレス腱となっていた資金調達でも、セコイア・キャピタルやCineGroupeといった外資系ファンドなどが参入し、一時期よりマネーが流入し始めている。
CineGroupeは10億元(約150億円)を投じた制作センター建設で注目を浴び、セコイアは零細企業の多い中国アニメ産業に業界再編を仕掛けて新しい流れをつくろうとしている。「喜羊羊と灰太狼」だけでなく中日共同制作アニメの「三国演義」も一定の成功を収め、内外投資家の意欲を刺激した。これらが中国アニメ産業の追い風であるのは間違いないだろう。
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